ウタノチカラ物語 第16話

ウタノチカラ物語 第16話

ハピスポひろば2017うたひろば準備会に引きこもりと紹介された女性がお手伝いをしたいと来てくれた。

私はいつもながらバタバタし、少し言葉を交わすくらいで、飾り作りをお願いしただけだった。
そして、裏フィナーレで彼女の歌を聞いた。
引きこもりというと、言葉通りに内にこもっているのかと思っていたけど、彼女の歌声を聞いて胸が熱くなり、内にこもるどころか、気持ちが外に向かっているのを感じた。

それから、歌を通じて繋がり今年はチラシデザイン、チカラウタライブ出演とうたひろばを通して半年間、不安も喜びも分かち合えた気がする!

そして、当日のドタバタからひろばが終わり心身共に疲れきった私を横目になにげに一番どっしり構え元気で強かったのは彼女かもしれない!

これからもよろしくねともちゃん!

【ビッグハットで夢を叶える!】

自分の夢って何だろう?
そんな考えを私はいつごろから打ち消し、手離しただろう。
「叶う」という想定でイメージすることのない日々が続くと、夢とは枯渇するものだと思う。

ウタノチカラ物語 第7話にも書かせていただいたように、私は14歳のころから15年余り、ほとんど社会と関わらずに時を過ごした形になる。
もちろん、外に出て働いたり別の場所で暮らしたりということをガムシャラにしてきたが、どれも長続きせず挫けることも多い人生だった。
そんな私にとって、夢とは「あきらめる」ことと同じ、湧くだけ無駄なガラクタのようなものだった。

2016年のちょうど今頃の季節から、ごちゃまぜカフェに出入りするようになった。
高山さや佳さんと最初に話したのは夢について。
そして、ハピスポひろばというイベントの存在を知り、それがやがて「うたひろば」を企画した南島元子さんとの関わりに繋がっていく。

南島元子さん・通称もっちーは、今年うたひろばのチラシの裏面デザインと、出演オファーをくれた。
必ずしもアカペラでなくてもいい、と言ったもっちーに“それならバンドをやってみたい”と告げた。
私は音楽を一緒にやる仲間はいなくて、常にその場その場でセッションをしてくれる方と共に音楽をやってきた。
でも、私が人生で振り返った時、支えてくれたのはロックバンドの音楽。
チカラウタライブというからにはどうにかそれを表現してみたくて、ダメ元で伝えた夢だった。
もっちーは、いいじゃん!と。
笑いもせず、すこぶる真剣に夢を叶えるお手伝いをしてくれた。
仲間探しを協力してくれたり、短時間の場面転換が難しい、楽器を使ったバンドサウンドをどう表現するのかを一緒に考えてくれた。

メンバーになってくれたのは、ごちゃまぜカフェの中で何度か一緒に音楽共演をした酒井孝司さんと岩崎純子さん。
「自分たちなら安心でしょ」
と、頼もしく手を貸してくれた二人がとても嬉しかった。

当日ライブで歌ったのはLUNA SEAのBELIEVE。
チカラウタに選ぶからにはそれなりに想い入れはあるものの、自分で歌って表現するとなると難しい楽曲を選んでしまった気がして、本番で歌うまで何度も不安が過った。
でもそんな時にいつも励ましてくれたのは、うたひろばの仲間たち。
バンドのメンバー。
今自分と関わってくれているたくさんの友人たち。
そう。昔はどんなに願っても叶わなかった、たくさんの方たちとの繋がりが今の私にはあって、みんなとの絆の一つ一つが、弱くなりそうな心を強く支えてくれていた。
「上手く出来なくたっていいよ。楽しむことが大事」
そう言って励ましてくれた仲間たちの言葉が、徐々に自分にも浸透していった。

終始緊張したまま、本番は終えた。
正直自分では、自分の出来の善し悪しはわからない。
そもそもプロではないのだから、何らかの定規で推し量るものでもないのだろうと思う。

でも、ライブ終了後の私は、ひとつとても大切なものを手にしていた。
歌い終えてホっと息を吐いていた私を、何人もの人が抱きしめ、頭を撫でてくれた。
「歌っている姿を見て、感動したよ」
そう、涙を流して言ってくれる人も。
自分が一歩勇気を出して踏み出し、色んな方の手を借りて夢を叶えさせてもらった。
その頑張りを讃えてくれる人たちが、こんなにもたくさんいる。
私はもう、独りぼっちじゃない。
障がいはあっても、コミュニケーションは上手くなくても。
今こんなに暖かいみんなと、同じ時を共に生きている。
その掛け替えのなさは、私にまた一つ、明日を生きる力を与えてくれていた。

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